研修を初めてすぐ、1頭の牛との出会いがありました。その牛の名前は「ルイ」
私と同じ名前を砂流さんが付けて下さいました。
初めて任された仕事は共進会のための「ルイ」のシャンプーでした。
砂流さんに、「るいちゃんにも牛引っぱってもらうけんな!」と言われた時は、
「えっ!?絶対ムリ!!」
まさか自分が牛を引くなんて!と、とてもびっくりしました。
共進会までの間、牛の引き方を教えてもらい、練習を頑張りました。
「ルイ」はとてもおとなしく、なでってやったり、シャンプーをしてやると、
とても気持ちよさそうにしていて、とても可愛く、
何もかもが初心者の私に気をつかってくれていたのかな~と思います。
そして当日、私はとても緊張していて、ドキドキしていたのを覚えています。
砂流さんや皆さんが、「大丈夫だよ!」、「頑張って!」などと声をかけて下さり、
緊張が頑張ろうという気持ちにかわりました。
「ルイ」は、練習通りとまではいきませんでしたが、
いうことを聞いて、頑張ってくれ、自分が引いているというより、
「ルイ」に引かれていた私だったけど、何とか、無事に終える事が出来ました。
初めての共進会、何がなんだか分からない精一杯の状況だったけど、
いい経験になりました。
優しすぎる、素直な性格なせいか、「ルイ」はずっと他の牛にいじめられていました。
エサも皆が食べ終わった残りを食べていました。
そんな「ルイ」もたくましくなり、共進会の1年後にお母さんになりました。
子牛はオスだったので売られていきましたが、
「ルイ」の成長した姿に嬉しくなったのを覚えています。
そんな安どの気持ちもつかの間、分娩後、「ルイ」は体調を崩してしまいました。
分娩後体調を崩す牛はいましたが、治療するとわりとすぐ回復していたし、
「ルイ」もすぐ良くなると思っていました。
ですが、なかなか良くならず、手術をすることになりました。
なんとか元気になってほしい、頑張って!!とずっと願っていました。
しかし、願いは届かず、天国へと旅立ちました。
元気になるものだと思っていたので、とてもショックでした。
「ルイ」は牛を飼うことの厳しさ、
命の尊さなどたくさんの事を教えてくれました今でも、
苦しい時「ルイ」を思い出し頑張っています。
「ルイ」には「ありがとう」を伝えたいです。
これが一番忘れられない思い出です。